AFF 2004 その4


その4は意外とご近所さんの、シライギターさんです。今はすでに工房を移されましたが、 前の工房はかなりうちの近くでした。ロードレーサーなら自転車で十分可能な距離w。 今回はすべてナイロン弦でまとめてしまえ!という決断から、シダートップとスプルーストップの 2本がやってきました。最初にまず、シダートップです。とてもまとまりのあるスマートな ギターですね。現在では、ナイロン弦のスタイルも多様化していて、クラシックギターに限らず 音としてナイロンの音が求められます。プレイヤーはクラシックギターの指板幅やグリップなどに 悩むことなく、スチール弦からちょっと持ち換える感覚で扱えるものが出てきていますが、 このギターはまさにそういうスタイルです。ナイロン弦なのでどうしてもナット幅がある程度必要ですが、 少し幅広い程度で収まっています。いかにも良い音のしそうなスタイルです。 細部に渡ってもいろんなひとひねりが効いていて、所有者マインドを刺激しますw。    
さて、これはとても綺麗なスポルテッドメイプルのロゼット。この材はなかなか暖かみのある、 それでいて複雑な表情を見せる木ですが、うまくつなぐにはちょっと工夫がいりそうです。 くっきりパターンが切れちゃうとせっかくの模様がもったいないですが、見事に繋がっています。 トップの板も、非常に細かなシダーです。バックのブレイスはかなり細目ですが、もともと ナイロン弦はテンションも低くなりますし、その分弦の振幅も柔らかいものですから、 ボディをどのように動かすかはスティールとはちょっと違った考え方になります。 クラシックギターの振動の研究は、ギターのなかでは実は一番進んでいますが、ナイロン弦を スティールスタイルで、というのはまだまだこれからです。ブレイシングにしても音づくりにしても、 クラシックギターの音をそのまま再現するのか、スティールスタイルに近接した音のイメージにするのかなど プレイヤーと製作者の新しい解釈や挑戦が必要ですから、こうしたギターは本当に面白いですね。
ちょっと洒落たスペック表示w。スプルースの板に手描きです。
ホンジュラスローズは、最近とみによく使われるようになってきました。 性質はかなりハカランダに似ていると言われています。見た感じも、複雑で濃淡のある木目が 大変美しい良い木だと思います。かなり固いらしく、反響が印象的な音でした。

ところでこの木は、昔はニューハカランダなどと呼ばれたこともありました。 20年も昔はさすがに情報も少なく、マーケットに訴求するには困難な状況だったかもしれませんが、 今日ではそういうのはきちんと表示されるべきでしょう。ごく最近でもそういう表示を するメーカーを見ます。どのような事情かはわからないのですが、個人的には かなり悲しい気持ちになります。統一して同一種の材を使えないからでしょうか。 確かにニューハカランダとされる木は一つではなく、他にもありますが、 それならその都度、材を明確にした方が信用に足ると思うのですが。
みなさんはいかがお考えでしょう。
いかがです!この美しい後ろ姿!バランスの良いボディシェイプに、綺麗な木目が映えますね〜。 センターには何も入らないすっきりしたバックです。そういえばラリビーもここには何も入れません。 全体を印象的に見せるには良い手法だと思います。対してセンターに幅広のパーフリングを施す場合は、 バインディングやパーフリングの複雑さと2つに分かれたバックの分割構成を美しく見せる手法ですね。 いや、どちらも良いな〜w。もし自分のギターなら、何も入れない方にするような気がします。 センターにパーフリングを入れる場合、内部のカーフィングが必要になってきます (場合によって必ずしも必要というわけでもないです)が、バックをXにした場合、それがブレイシングの じゃまになる可能性がありますのでw。あ〜、いやまぁ、現時点では何とも…w。
上のスペックパネルにもあった、「ギルバートチューナー」ですね。 何でも、つまみやギヤ部分などかなりの箇所を注文できるらしく、精度の良さと相まって 最近ときどき見かけるようになりました。特にクラシック用などの3連を見ることがありますので、 なかなかの実力派なんだと思います。
ヘッド裏には3層のこれまた美しい断面を見せる板が貼ってあります。ハカランダかホンジュラスか、 木目も綺麗です。よく見ると3層目の一番下の板は非常に薄いのですが、綺麗なカーブに沿って削られた ナット下辺りは幅がずいぶん広くなってますね〜。ヘッド自体はスカーフジョイントなのか ちょっとわかりませんが、その補強にもばっちりですし、何よりカッコイイですw。
こちらはスプルーストップの一本。実のところ、入れ替わり立ち替わり皆さんがお試しなので 写真を撮るのも大変ですw。やっとこ撮れた一枚です。このギターはシダーとは少しボディシェイプが違います。 カッタウェイもフローレンタインで、ちょっとシャープな顔立ちのギターですね。 よ〜〜〜く見ると、どうもこれはバックが複雑なXブレイシングのような気がします。 こちらは弾く機会がなかったのですが、なかなかいい音がしそうな顔つきですね。

白井さんは工房も新しくなり、製作環境もすごく良くなったようです。 従来のXブレイシングにこだわらず、細かい複雑なブレイシングもできる技術をお持ちですが、 バックXやナイロン弦など、いろいろなスタイルもいち早く製作に取り入れられています。 工房が近いときに遊びに行っておけば良かった…w。 スチール弦の方は、以前のオフ会にmanzo_fさんに貴重な機会を作っていただきまして、 すごく深い響きとやさしい音色に驚きました。ナイロンにも通じるテイストですが、 音の深みがとても印象的なギターでした。細かい部分のデザインやアイデアなど、 ほんとうに凝ったギターをお作りになられます。次の機会には、スティールもぜひ!!w

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