AFF 2004 その8


あいやさてさて!こちらはただいま世間をお騒がせ中の! あの亀岡ギターさんです。 うちでも少し話題になりましたが、押尾コータローさんがお使いとのことで急激に人気アップです! もちろんその作りの丁寧さや音には素晴らしいモノがありますが、そこはそれぎたおたなわたしw。 いろいろなお話をお伺いしてきましたので、ご紹介です。

今回は3本+1を出展されていました。まずはDカッタウェイスタイルのマホガニーモデルです。 シェイプはほぼ「モデファイドD」と呼ばれるスタイルですが、亀岡さん自身の「モデファイ」も当然なされています。 サイズ的にはソモギのモノよりやや大きいのではないでしょうか。容積は通常のD並みにあるようです。 このギターはロゼットがアヴァロンシェルで、ボディバインディングはローズなどのマルチ。シンプルですが美しいです。 特徴は弾きやすいカッタウェイとやはりコンターでしょう。ちょうどカーフィング幅ぐらいの削り込みです。 ハカランダのブリッジは真っ黒けです。サドルはやはり厚みのあるもので、オープンなどに威力を発揮しそうです。
こちらは同じスタイルでローズモデル。スペック的にはサイドバックの材だけですが、音づくりなどは材に よって調整してあります。もっとも、同じ材質でもそれぞれ違いますから当然ですねw。 こちらはコンターがありません。つけるとトップの面積が縮むので、適当にというわけにはいかず、 やはりきちんと考えてからやらないといけないそうです。 ブリッジの両端の削り込みは、通常のマーティンに比べると一番エンドのところできゅっとRでトップへ向かいます。 長さはやや長く、両側への影響がより大きいスタイルです。ただ、削ってある部分の厚みはやや薄目ですので、 この部分がある程度動くよう計算されています。    
3本目はOMカッタウェイです。このギターではロゼットに幅の広いスポルテッドメイプルが使われていて、 かなり表情が違いますね。ロゼットそのものはマルチリング?ではなく、大きなもの一つにまとめられていますが、 メイプルを巻いているラインがしっかりと全体を引き締めています。ボディバインディングはやはりこれもローズで、 対比する細い白いラインが綺麗にでています。この幅や組み合わせなども、ギターの雰囲気を作る大事な要素なんですが、 最近の製作者の皆さんはホントに綺麗なのを作られますね。

ブリッジ周りは共通した設計になっています。やはり振動の基本部分ですので、ナット、サドルとともに 最初にエネルギーを受ける部分としては、あまり動かせない要素であるとともに、 製作家のオリジナルデザインとしてヘッド形状と同じく、バラバラでは困るかもですねw。 もちろん狙う音や構造で全く違うものになることもありますので一概にはいえません。
さてプラスワンの一本。ドルフィンギターさんがオーダーし、お客様の元にいくのが決まっている特別のギターも、 まさに特別出品でした。コンターつきのローズボディですが、何よりもまず目をひくのがヘッドインレイでしょう!! これはドルフィンさんがラリー・ロビンソンにオーダーして作らせた珠玉の逸品。 お伺いしたところ、そういう場合は突き板を先に作って、それをギター側が合わせて組み込むという手法に なるそうです。おかげで、オリジナルのヘッド形状より少々大きくなったとかw。 また、すでにインレイが終わっているのでエッジの仕上げ時に必ず削らないといけないのですが、 削りすぎると台無しになるし、大変注意深く進める必要があったとのこと。

ただ、それを聞いてわたし自身は「よし!先にヘッドインレイだけ作っちゃおう!!」と、 そうそうに同時出展していた大和マークさんのブースへ直行!白蝶貝と黒蝶貝の素材を買い込み、 まだ何もできていないのに にやにやしているドアホウでありますw。えっへん。
アップです。元絵はあのアール・デコの巨匠、アルフォンス・ミュシャです。この絵は連作のうちの一つで、 本題を『四芸術』のうちの一つ「ダンス」といい、他に「詩」「絵画」「音楽」があります。 各芸術を擬人化し、それぞれ美しい女性が、題材に倣ったポーズや背景を描くミュシャらしいデザインです。 中でもダンスは、動きのある姿をあざやかに表現することができた一枚、と手持ちの画集には書いてあるw。 ミュシャはよく4枚組の連作を作りました。ほかには「百合』『カーネーション』『バラ』『アイリス』などがあります。 春夏秋冬や宝石、朝昼夜など、連作のお題も色とりどりです。独特の画風と、くっきりした輪郭の広いラインは インレイには非常に向いた題材です。わたしも自分用にいくつかデザインしたものがありますが、 ミュシャの構成は本当にインスパイアされます。

よくみると、ナットはスキャロプされて丁寧な加工です。ヘッドプレートエッジも輪郭が出るように仕上げられ、 おそらくこの辺りが苦労のしどころだったのでしょうね。とにもかくにも、大変なギターです。 インレイとギターの仕上がりを合わせ、ほとんど芸術品ですね〜。
さて一転してこれはロゼッタ周り。マホガニーモデルのものです。バックセンターのシーム部は ローズウッドのようです。ブレイシングはスプルース。 センターシーム(カーフィング)は、バックの場合大きく一枚の板として動かすことを 期待した場合、このように硬めの材で合わせることも良いアイデアですね〜。この部分、バックのデザインにも 関係してきますが、モザイクをあらかじめ板を張り合わせる時点で入れる場合はこのカーフィングが 必要になります。ノーブルのように、メイプルを入れているのにそのまんまカーフィング無しという大胆なw 事をする人もいますがw、入れるならカーフ入れろよ!じいさん!!w。

さ、さて、亀岡さんのこのギター、マホガニーの明るい音と切れの良さがいい感じです。 テンションはかなり強めの印象ですが、ご本人もそのようにしているそうで、あまり下げるとやはり 低音弦をドロップしたときにどろんとした音になってしまうからだそうです。亀岡さんのギターを求める人の 演奏スタイルがそういう系統の人たちなので、サドルの厚みや弦高のセッティングなどとともに テンションの調整は重要ポイントです。
これはローズモデルのアップ。少し中をのぞいています。ブレイシング、センターカーフィングともにマホガニー。 これはおそらくバック材が十分に固いので、そこを生かす工夫と思われます。しっかりとセラックで塗装され、 変化にも強そうですね。サウンドホールブリッジ部に見える補強材にご注目下さい。 かなりの高さがあり、この位置からでも非常によく見えます。ほとんどのギターはここからでは何も見えないと 思いますが、近年の設計ではここの強度を高めに作るのが多いようで、次回機会があればもっと詳しくお聞きして みたいと思います。
これはもちろんOMモデルのロゼット。スポルテッドメイプルが美しい。 継ぎ目はどうするんでしょう。都合の良い位置がそうそうあるとも思えませんが、いろいろ技があるんでしょうね〜。 さて、こちらもサイドバックがローズだからか、ブレイシングはマホです。それにしてもこのブレイス、 細いですね〜。背はけっこう高いので、剛性感はばっちりです。その分前後の動きに余裕があるというか、 動きやすそうです。一本一本、場所によってその形状が違いますから、それぞれの箇所の動きを 考えて作られています。
OMの中をのぞいてみました。3番だと思いますが、2番とは違った形状、高さと厚みです。センター部では けっこう高いですが、サイド付近ではかなり削り込まれて全体の前後動は楽そうです。 サイドにはローズでしょうか、ほぼブレイシング様の補強材が入っています。やはりサイドは固める方向ですね。 そういえばこのギターのX部補強も、上のDと同じ大型です。両端を削ってあるのがわかりますので、 この辺りの調整具合がポイントなのかもです。

延長戦へ!

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