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最後に、今回のフェアで初めてお会いしました小林さんのギターをご紹介します。
今回、2本のギターをお持ちになっていました。ひとつはこのヨーロピアン/ホンジュラスローズの一本で、
オリジナルデザインのカッタウェイです。各部は非常に凝ったデザインになっていますが、これにはもう一つ大きな
アイデアがあります。それは、ファンフレットになっているということで、よくご覧いただくと各フレットが放射状に
配列されているのがおわかりいただけると思います。今回は、5Fでギター軸と直角に交わるよう設計されたそうです。
このためスラントしていながら、弾き心地は通常とほとんど変わらないようになっていました。
フレット楽器は平均率の関係で必ずどこか音が狂いますがw、できるだけ小さくするためのアイデアがこの
ファンフレットです。ただ、うまくやらないと非常に強い傾斜で配置されてしまうので、ハイポジションに移動すると
大変弾きにくいことにもなりますが、このギターでは実は私は説明されるまで気がつかなかったというオマヌ〜ケぶりでしたw。
いや、それだけ違和感なかったんですよ、マジで。
こちらもコンターつきのトップに、傾斜したハカランダブリッジ。で、5Fが直角なので、ナットも当然斜めになっています。 画像ではちょっとわかりにくい角度かもしれません。ロゼット周りはコア材とアヴァロンの組み合わせで、これもなかなか 上品でカッコイイデザインですね。ボディバインディングは強いフレームの出たコア。う〜〜ん、これもいいぞ。 ヘッドは小さめになっていて、ヘッド重量の軽減を狙ったそうです。個人的にはちょっとバランスがよくないような 気がしますが、うまく破綻しないように収めていると思います。カッタウェイ自体はそれほど強くは入っていませんが、 十分ハイフレットに届きます。アッパー側のサイズが大きめで、くびれが小さいのがこのデザインの特徴でしょうか。 これだとアッパーも十分鳴らし切ることができそうです。なかなか優れたデザインだと思います。 |
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続いてはこちら。ノンカッタウェイ、サイドバックコアの一本です。基本的なボディシェイプは似ていますが、 シンプルな構成です。しかし、ロゼットパーフリングはアヴァロンで、きらびやかなところもきっちり押さえてあります。 指板には豪華なインレイもあるので、シンプルとは言い難いのか?w。ヘッドにはフレームドコアが見えます。 こちらのフレットは通常の配置です。指板端はロゼットの幅と同じ分テーパーにカットされて、リングサイズが 連続して見えます。ブリッジはこちらもハカランダ。雰囲気は、ちょっとローデンを思わせる感じです。 細かいところにもかなり凝った細工がしてあります。 | |
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これは指板のインレイのアップです。皆さん、ホントにこういうのには凝ってきますw。 アヴァロンと白蝶貝を、うまく使い分けたデザインです。たぶん貝の模様も、かなり考えて使われているんでしょう。 花の真ん中がうまく周りとマッチしています。貝は角度によって光ったり光らなかったり、模様が変わったり 色も変わったりとw、思い通りの絵を描くには大変使いにくいんですが、注意深く仕上げていますね〜。 | |
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ボディエンド部のインレイです。ちょっと東洋的なモチーフのイメージがします。いい感じです〜〜。 ここにもアヴァロンが使われ、かなり良いアクセントになっています。こういう風にバインディングの間を広げるような 形にすると、周囲とのつながりをかなり気にしないといけないと思うのですが、ウッドの間に非常にうまく、違和感なく アヴァロンが入っています。黒いラインも効果的で、なかなかカコイイ!です! | |
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サイドバックは、フレイムは出ていませんが木目のスゴく綺麗なコアです。実はコアといえばフレイムドばかり
気になっていたので、最初これがコアだとは思いませんでした。無くてもスゴく綺麗な材なんですね〜〜。
色もご覧の通り、輝くように木目が浮き立っています。サプも入っていて豪華な印象ですね。
小林さんのギター構造は、クラシックの技法を取り入れてあり、サイドはネックブロックに差し込まれる形で固定、
バックボードはご覧のように最後にヒールごと貼りつけるという、フラメンコなどに見られるスタイルです。
ですので「ヒールキャップ」というモノがありませんw。バックの延長です。
また、バックのセンターには何も入らない、クラシックスタイルです。この材なら木目がスゴく生きて、
全体でうまくボリュームを見せられる構成ですね。
ただ、お話の中で、わたしとしてはせっかく差し込む形なので、ヒールそのものの必要性があまり感じられないことから、 また、構造的にもヒールレスができると言うこともあり、そのようなことをお話ししました。 ノンカッタウェイでも、ヒール部分が小さければそれだけハイポジションへのアプローチが簡単なので、 ぜひそんなデザインにも挑戦していただきたいですね〜。全く同じ事をマンゾー氏もおっしゃってました。 |
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ヒール部分のアップです。コアの材が、本当に綺麗です。仕上げもかなりうまいんだと思います。
全部ご自分でおやりになられているとのこと、塗装は一番めんどくさいとよく聞くのですが、
とても綺麗な艶のある塗装でした。
バインディングはローズと白黒のウッドです。ヒールをまたがって進むバインディングは、何だか新鮮ですねw。 |
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ロゼッタです。ワンリングの構成ですが、サウンドホールの延長のようなデザインになっていてスゴくカッコイイです。 アヴァロンをとりまく黒のラインですが、内側はそのままホールエッジを構成していて、少しRをつけてあります。 エボニーでしょうか。黒地にアヴァロンがスゴく映えています。指板端はご覧のようにちょうどリングと同じ幅で テーパーをつけられ、リングと繋がるようなデザインです。中のブレイシングはちょうど山型になっていて、 センターにピークを持っています。薄くそれほど背は高くありませんが、センターのカーフィングがローズだからでしょうか。 内部はセラックでの目止めが施されています。 |