AFF 2004 その6


これはっ!!w いきなりですが、こ〜れはなんでしょう!そうです。ギターケースです!! … … って、ギターじゃないようなw。もちろん特注ケースなんですが、今回の会場のなかで、 一番インパクトがあったかも?とにかく巨大です。ギターケース2個分は確実です。デカ!ですw。

さてこのケースが存在を主張するブースの主、志茂さんのご紹介ですw。 いきなりのケースのインパクトですが、実はこのケースにもいろいろとお話がありました。 まず、当然特別製で大きくなることはわかっていたそうですから、重量の軽減をケース会社にお尋ねしたそうです。 するとまず、外形が入る最大サイズの四角がもっとも重量が重くなること、少しでも軽くするためには、 複雑であっても外形ぎりぎりのカーブを描くことで、天板と底の板分軽量化できることなど、 お話しいただきました。志茂さんはこんなところにも全力ですw。でもやっぱり、 「面白いでしょ?」とおっしゃってましたw。
ではそのケースの主をご紹介しましょう。右のハープギターがそうです。6弦を中心に、複合弦を両脇に置いた スタイルですが、高音側と低音側でも少しずつ工夫がされ、バリエーションのある使い方ができるそうです。 しかしブリッジはなが〜〜いハカランダの一本もので、素材自体は繋がっています。ところが、6弦部と高音部の間の すこし空いた部分は、ボディトップにくっついておらずアーチ型に浮いています。ブレイシングの関係もある そうですが、音を濁らせず振動させる一つの工夫だそうです。トップはスプルース、ナット、サドルは本象牙の塊から 削りだし、サイドバックはなんとハカランダです。途中で繋いでありますが、それでも巨大な板があったものです。スゴい…。

普通のギターに比べてかなり要素の多いこのギターですが、煩雑になることなくすっきりとしたレイアウトで、 サウンドホール周りもなかなかカッコイイです。バランスが良いというか、いい顔ですw。 でも、これを弾きこなすのはいったいどういう曲で、どんな風に弾くものなんでしょう。 わたしには全然わかりませんです…w    
こちらはギターらしいギターw。といってもやはりなかなかの凝りようです。トップはとても質のいいシトカに、 サイドバックはこれまた今どきよくあったなぁ、という豪華なハカランダ。スタイルは志茂さんのオリジナルデザインで、 ほっこりした顔立ちの優しいギターです。小ぶりですが、音量も十分でポロンポロンと響く深みが楽しいです。 軽いタッチでもよく響き、ギター全体がゆったりと鳴るような感じの鳴り方でした。 ブリッジも見事な木目が美しいハカランダで、何とも豪華な構成になっていますね〜。 ヘッドにはアオサギのインレイが光ります。そして、ボディパーフリングはすべてアヴァロンなのですが、 わたしがこのギターに気をひかれたのはその部分で、なんとパーフリング、全くの貝だけで作られており、 普通使われる細い経木の類は使われていないのです。なので、トップ材にいきなり貝が埋まっている…w ロゼットだけなら無くもないのですが、とりまくバインディングがウッドの他は全くの貝のみです。 これもまたまとめるのに難しいデザインだと思うのですが、綺麗に収まっています!

通常、輪郭線があるとモノの形がはっきりしてわかりやすくなります。皆さんも絵を描くとき、輪郭線を描くと思います。 いきなり面で描き始める人はそういう訓練を受けている人だけで、デッサンをやり込んだ人などくらいでしょうw、 輪郭線の代わりが、幾重にもとりまく白黒のラインで、これがないと気が抜けたようになりがちです。 そこをうまく「顔」としてまとめるのは、やはりセンスが必要な作業だと思いますね〜。
ちょいとサイド側から。ご覧のように、美しいサイドです。こんなハカランダがまだあるなんて…。 ボディ周囲は白蝶貝のラインで、ロゼットの中央リングがアヴァロン、その周辺に白蝶貝です。 わずかに見えるサイドの割れ止め?は、しっかりとしたブレイシングのようになっていますね。 この辺りは音との関係でしょう。近年の志茂さんは、本当にいろいろな手法をとりいれ、 そこにアイデアを加えて面白い作品をたくさん作られています。
バックです。少し画像が明るくなっていますが、実物はもっと濃い色の豪快な模様がゴージャスです。 ヒールキャップはもう最近ほとんど見ることの無くなったスパイダー杢とか言っているタイプのハカですね。 たまにコリングスなんかがショーモデルで出してきますが、とんでもごっついお値段になってますw。 ネックヒ−ルにかかるバインディングでおわかりになるかもしれませんが、ネックジョイント部はRに なっています。
こちらがロゼッタ周辺。よく見ると、経木がありません。ストライプがないので、いつも見かける 「記憶にあるギターの顔」とはちょっと違ったたたずまいです。線がないだけで、これほど顔が変わるものかと思いました。 通常私たちはほとんどの場合、マルチプルバインディングになったギターを見ています。 これが複雑な組み合わせで、それぞれのギターの印象を形作っているのですが、そうした要素を何か一つ外すと、 思いがけない表情が現れるのかもしれません。見慣れた安心感もありますが、「あれっ?」っと思う意外性が ギターのどこかにあるとぐっと興味が増してきます。木の表情とともに、ひと工夫のおもしろさが生きる瞬間ですね。
ヘッドのアオサギです。黒蝶貝、白蝶貝など組み合わされて綺麗な虹色の光が透明感を出していますね。 近所で見かけたとかでw、なかなか風格のある立ち姿です。よく見ると上の方にもなにやら2羽ほどw。 ヘッドの形状はやはり志茂さんのオリジナルスタイルで、たぶん「何となく」でこの形なんじゃないかとw。 志茂さんは非常に様々な知識と技術をお持ちですが、それを肩の力をちょっと抜いて、楽しみながら ギターを作っておられます。細かいことを言い出せば本当にあまたの話があるギターづくりですが、 こだわりつつもとらわれないスタイルがカッコイイです。

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