神戸オフ 春 2005 03

さて、お次はブルーグラッサーであるsugさんのDモデル2本!です。今回ご参加にあたって、 特徴的な新旧のDを弾き比べるという貴重な機会をいただきました。ありがとうございます!感謝です。

まずは左、67年のD-28です。渋い面構えの歴戦の勇士です。もう40年近く弾き込まれていることになりますね。 それだけにいたるところウェザークラックやチェックがありますが、ますます血気盛んといったところでしょうか。 ヘッドは例の丸みのあるシェイプ。グローバー(ゴトーに換装)にブラックピックガードです。サイドバックはもちろんハカランダ。 マーティンのスタイルの、一つの特徴的なものといえるでしょう。もちろん細かく見ればバリエーションはいろいろありますがw。

右はいま大変評価の高い逸品であるメリルの、C-28です。関西ではなかなかお目にかかることのないメーカーですが、 大阪の魔窟で偶然行き当たってしまったものとかw。ビンテージスタイルの完全復刻を目指しているルシアーの、 入魂のギターです。シャープなヘッドにオープンバック、ダイヤモンドスロットにヘリンボーン、 鼈甲柄PGとロングサドルと、アディロントップにハカランダサイドバックw。完璧ですw。 そういう意味では67年がノンスキャでメリルがフォワードシフテッドスキャロプですから、キャラクターが上手く 区分されていますね。どちらのタイプも特徴的な個性を発揮です。    
灼けたトップの67年と、ティンティッドカラーのメリル。現在アメリカではこういったティンティッドカラーが 好まれているようなのですが、市場の違いでしょうか。日本では全くのナチュラルの方が受けがいいような気がします。 日本では「木の芸術品」、あちらでは「ヴィンテージアメリカの郷愁」という観念でしょうか。

2本とも、たたずまいに貫禄があります。歴史を背負った67年と、最高の一本を目指して鍛え上げられたメリル。 どちらにも一徹した美しさが感じられます。そういえばメリルはナット、サドルも象牙でした。 ひょっとしたらフォッシルなのかもですが、こんなところにもオリジナル回帰の気概が見られます。 そして驚くべき?事に!トップのブレイシングのサウンドホール寄りネック側一番奥の真横に貼られる低いブレイシングが、 もともと無いそうです。実は海外ではD-18GEなどの改造事例で、このブレイスを取り外してしまう!というのが あるのですが(ヲイヲイw)プリウォーのものにはなかったためにこのメリルもそれがもともと着けられていないのです。 いやもうほんとにお見事です!
このギターたち、バックからの方が迫力がある!と思うのは私だけでしょうかw。 67年はペグがグローバーなのですが、オリジナルの保管と精度向上のためこれはゴトー301に交換されています。 ちょうど先日うちのBBSでもよしださんからアップしていただいていましたが、510のグローバー互換がでたばかりで、 「もう少し早ければそちらにしましたぁ〜!」とおっしゃってましたw。バックは見事なハカランダ!。 最近ではほとんど見ることのできないような、質の高い材です。しかも完全な柾目で、見事なものです。 サイドバックとも、スパイダー杢と呼ばれる美しい模様が浮き出ており、近年はまず見かけません。すごいです。

メリルはスパイダーこそありませんが、色の濃い大変良いものです。木目もよく詰まっていて、大味な板目とは違います。 こちらも最近入手するのは大変難しくなっているようなクオリティですね。 ところでネックのボリュートに注目してください。67年はやや短め、メリルはプリウォーに見られるような尖った 長目のボリュートが形成されています。この辺りも、ホントにプリウォーを意識した部分です。
最後にどアップをw。大変素晴らしい材ですね。もちろん材でギターの価値が決まったりはしませんが、 価格は決まったりしますw。こうした樹齢の高いものは伐採がないことを考えるともう出ないでしょう。 個人的にはハカランダ至上主義ではなく、逆に他の材の可能性の方が興味があったりしますが、 新しい材の評価が高くなるほど今後こうしたギターは貴重になってくると思われます。希少性という点ではすでに 十分プレミアムがついてますがw。ローズとハカランダの違いもいろいろと言われていますが、やはり違いはあると思います。 うちにハカランダは5本ありますが、同じモデルのローズを弾く機会などに違いを感じることがあります。 トップでほとんどの音が決まるとはいえ、バックの影響もまた重要なものです。自分の欲しい音、製作者の狙う音に それが必要であるなら、その価値は十分にある材だといえるでしょう。

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