スキャロプドサドル その2

さて、前回のスキャロプ加工は今ひとつ効果がはっきりしませんでした。
削り量が少なかったことで、聞いてわかるような変化は余り顕著に現れず
今回はごっそりと各弦の間を切り離すような感じで削ってみることにします。
そうすることで、弦同士の干渉が減り、一般的には音の分離が良くなるのでは?
といわれています。ただ、サドルの剛性はかなり落ちるのでサスティーンや
音量には不利な構造ともいえます。果たしてどのような結果になるのか、
興味いっぱいです。
   
はい!いきなり削ってますね〜。設計的には前回の延長なので、
あれこれ考えることもなく前に削り残してあった部分をより深く
削り落としていくだけです。もちろんこの溝というか隙間の幅や深さが、
かなり影響するのは間違いありませんが、参考になるようなものもないので
何となくカンでやるのが正解です(笑。少々多かろうが少なかろうが
正直大差なかろう、と高をくくっています。素人ならではの開き直りです。
実際に音の変化をねらうには、経験則が必要なのでとりあえずこれは第一号!
まさにあんまり考えることもなく、ご〜りご〜りと削っていきました。
できました!(笑。物事はてきぱきとやらねば(笑。え?もちろん仕事も。
すいません、ウソついてます(笑。
斜めになった部分もやや残しながら、おおむね均等に溝を削りました。
今回は両端の1と6弦より外にも溝を付け、接地面を減らしています。
厚みや弦の接点は全くさわっていないので、違うのはこのスキャロプ加工だけ
ということになります。果たしてこの程度の量で音は変わるのでしょうか。
個人的にはあり得ないと思っていますが、貝のバインディングでも音が変わる
という人もいるので、サドルを削ったりした日にゃぁもう大変化ですよ。
いきなりセット完了です。まぁ、元に戻して弦張るだけですしね(笑。
弦高、その他変更はないので音の変化だけがあるはずです。弦も元のを使ってます
チューニングしてみましょう。ん?なんか音の伸びは良くなったような気がします。
高音弦は、確かに音が一つ一つきちんとまとまった感じがします!びっくり。
ちょっと弾いてみましょう。なるほど〜、まずは指の爪で弾いてみたのですが、
音のふくらみが出た感じです。特に高音弦はふくよかなゆったりした音になりました。
ところが、低音弦は同様にシフトしているのですが、びよ〜〜んという、なんか
シタールっぽい感じが乗っかってます。不思議な感じだ〜〜。

それではピックで弾いてみましょう。まずは厚めの鼈甲で。
やはり高音弦はまろやかな豊かな音です。細かな倍音もきれいに出て、
サスティーンも何となく伸びる感じです。いい音と言っていいと思います。
低音弦は、と…。ピックで弾くと、指よりは切れのある音で鳴ってくれます。
ところが、ちょっと強めに弾くとブーミーな感じがでて、ボスン!という
感じに聞こえます。6本の弦のバランスは悪くないんですが何となく重い感じです。


では薄目の鼈甲で弾いてみましょう。もともと切れのある音が出るピックですが、
やはりその辺りはキャラクターとして出てきます。低音弦もそれなりにアタック感のある
感じで出てきます。高音弦はきれいな音ですね。キンキンせず、透明感が感じられます。
しかし、やはり全体に少し重い感じは否めません。音量も何となくですが少し少ないです。
そのぶん、倍音は豊かになった気がします。なぜだろう?分離が良くなることで、
干渉が少なくなって倍音成分が出てるのでしょうか?もう少し検討してみないといけません。
あるいはサドルの剛性が下がって動きやすくなったのでしょうか。びみょ〜〜です(笑。

今日、弦を変えてみました。画像にある弦はマーキスのブロンズライトですが、
フォスファーも張ってみないといけないなぁと思い、手元にあった「いるかや」さんの
0.11〜0.50のフォスファーEXライトに変えてみました。実はこのギター、ライトゲージの方が
細い弦より楽に鳴るというギターで、0.11〜0.50はちょっと細いのですが、ちょうどいいのが
無かったのでマァいいやと(笑。音の方ですが、新しい弦なのできらびやかさはかなりあります。
フォスファーなので巻弦も倍音を含んで、ブロンズよりずっとイイ感じで鳴ります。
低音弦はやはりちょっと曇った感じで、ポコンという鳴り方です。本来はコン!という感じで
アタックの頭がちゃんと出ます。やはりボディサイズも相まって、低音弦にはいい効果では
ないようです。高音弦は、キラッとした芯の音の回りに、ブヲ〜〜ンという感じの広がりのある
音が取り巻いているような、深みのある音で、私はすごく好きです。あえてたとえるなら、
フルートのような音でしょうか。丸みのあるが、眠たくない音です。フィンガーでは、ハッキリと
メロ部分が聞こえて、低音側より勝っています。全体のバランスはかなり高音寄りになったようです。
やはり、サドルの剛性や接地面が減ることで、低音側には良くない影響が出ています。
高音側の1.2.3弦の音がすごくイイだけに、これはちょっと考えどころです!


まとめですが、音の質感に関しては不満なく、分離も良くなったというか、各弦の音の
粒だちが良くなったような気がします。しかし、歯切れの良さはちょっと減ったようです。
それとやはりかなり音量は損なってるようです。もう少し音量があるギターです。
やはり元々イメージした音を出すためには、後付の作戦はトレードオフの部分が少なくない
様に感じます。今回はあくまで実験なのでこれでいいのですが、好みの音を狙って出すには
サドルをスキャロプするのは難易度が高そうです。かなりの経験、試作をしないと
切れの良さを残したまま分離も良くするというのは難しそうです。オリジナルギターに活かす
アイデアとしては、構造的には、昔のSJ-200のように完全に独立させるか、低音弦側だけ
スキャロプしない、セパレートサドルにしてそれぞれに特性を持たせるなど、いくつか考えられます。
最も現実的なのはセパレートサドルにしてサドルの幅や深さ(高さ)を変えるのが
良さそうです。もちろん、ブレイシングや他の部分の構造にあわせた、ギター全体として
まとまりのある音へのアプローチが大切なのはいうまでもありません。
以後、もう少し弾き込んでみてあらためて音の評価をしてみたいと思います。
それをふまえて、次はマストドンでチャレンジだ!(笑。


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