最初

さてさて、またもや怪しげな事を始めてしまいました(笑。以前から一度試してみたかった、
スキャロプドサドルです。ナットは最近よく見かけますし、自分でもやってみたいことの
一つなんですが、サドルは音に影響が大なので躊躇していました。
まぁこのさいやってみよう!ということで、まずは比較から。上がオリジナルで、
下が以前作って使っているマイカルタです。ここではすでに、削る位置を大まかに
下書きしてあります。最初はこの図のように、ごっそり削り落としてやろうと思って
いましたが、削っているときに、抜き落とす前に削って減らしただけではどうなるだろう、
と思い立ち、まずはそれを実行してみます。


削り具合

削るのは非常に簡単で、マーティンがこれを選んだ理由も加工がしやすく硬い素材と言うことで
しょうから頷けますね〜。元々マイカルタの音は少し粘りが無く痩せ気味の感じを受けていまし
たが、牛骨の安いのとはそれほど音は変わらないので、単価的には激安のこれは、メーカーと
しては都合のイイものだろうと思います。最近あまり使われないのは、ブランドイメージを維持
するには安物ばかり使えない、という事情によるものと思われます。45のGEなんかにマイカルタ
では、さすがにユーザーは悲しいでしょうからね〜(笑。
ところでこれですが、ご覧のように斜めに円錐形状に削ってみました。ブリッジへの接地面は、
削った部分は極めて少なくなってます。なので、設置部分はほぼ切断状態だが、弦を受ける部分は
繋がっている、という状態になります。この次はここを削り落として、
接地部もなく、隣の弦との連絡も少なくなると言う状態にします。


正面

両端の削り量は少し少なくしています。削った量も、それほど多くなっているのではない
ようです。弦高や弦との接点は何も変えていないので、音を出せば削った影響がどの程度
かわかると思います。もっとも、もう少し大胆にやっても良かったかな?とも思います。


装着

実際に取り付けたところです。ご覧になってわかるとおり、かなり多くの部分がブリッジより
出ているのがおわかりだと思いますが、このギターはこれで正常なのです。というのも、
レイクウッドはネックの仕込み角がマーティンなどよりかなり大きく、弦の終点が普通のものより
遠くに離れていくことになります。ブリッジの高さ自体はそれほど変わらないので、こうして
サドルが飛び出て見えるわけです。ただ、そうすることによって角度が大きくなり、テンションは
かなりつきますから、音作りの点で考えられた結果の設計というわけです。
もちろん、演奏時の弦高はごく普通の高さで、もう少し下げられるナァ、という余裕もあります。


サドル角

その証拠、というわけではありませんが、興味深い画像を一つ。よくわからないかも知れ
ませんが、サドルの角度が後退角なのがおわかりでしょうか?エンド側に向かって倒れています。
これは、そもそもサドルの溝が斜めに掘られていて、トップと垂直ではないからです。そうする
ことによってベクトルの合成方向にサドルが真っ直ぐ入ることになり、振動をよりしっかりと
伝えようとしたものと思います。効果がどうなのかはよくわかりませんが、面白いです。
ところでうちのM-54は初期型なので、ブリッジはエボニーではなくハカランダのようです。
現行機種は全てエボニーになっているようなのですが、個人的にはこっちの方がより
レイクウッドらしい音がするように思います。今のはマーティンぽい感じがします。

肝心の最終的な音なんですが、全体的に音のボリューム感が少し減ったような印象です。
分離が良くなった、という感じは今のところありません。効果があるほど削らなかった
可能性があるのと、そもそも実験機が特殊で(笑、比較しづらい対象を選んでしまったという
事があるようです(笑。ただ、次の時にごっそり削って見るつもりなので、その時には顕著な
違いが出てくれることを祈ります。その時には、弦は変えず継続してやってみます。
今回は弦も変えてしまったので、純粋な比較になっていないと思っています。



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