アコフェス 2005

続きましてはその音と製作技術の高さで大変な人気の亀岡さんです。きっかけはやはり押尾さんの使用だと思うのですが、 それで一気に知名度が上がりました。前回の2003アコフェスでも、バックブレイシングにマホガニーを使い、セラックでの 内部塗装などいろいろと工夫したギターをお持ちになっていました。今回は、モデファイドDとOMスタイルでのご参加です。

これは全体の画像。 すでにこの形は手慣れた作りで、定評のあるモデルとなりました。スケールは644と、650よりは幾分短め。ナット幅は44で近年の スタンダードサイズといえますね。スケールはいくつかバリエーションをお持ちのようで、演奏性や音づくりにより選択されます。 基本的には深みのある音と力強い音のバランスに気を使っているそうで、ボディサイズやブレイシングなど工夫されています。 そういえば今回のギターにはどれもコンターがないので伺ってみました。「たまたまそういうオーダーが入ってなかった」んだそうw。 コンターの影響については、「やはり低音には影響すると思われるが、勘案してカーフィングやトップ厚を削ることで小さくなるでしょう」と おっしゃっていました。    
バックのフルショットです。このギターは画像では少しわかりづらいですが、非常に美しいきらめきのあるローズが使われています。 目が少しワイルドだったのでオーダーには使わず、今回のフェア用に使ったそうですが、私は大変良い材のように見受けました。 ちょっとハカランダっぽい感じの目の詰んだはっきりとしたストライプに、赤みのある部分が角度によって光ります。 近年は単調に色の沈んだ感じのローズが多いので、こういうものは珍しいです。

ヘッド裏にはメイプルかカリンとか何かのコブ材。聞き忘れましたw。ヘッド付け根とヒール部はできるだけカットされて 演奏性を上げています。ネックはマホガニー。こちらも素直な真っ直ぐの良材ですね。
ボディ前面です。ロゼッタにはアバロンが一層で、それをウッドバインディングが取り巻いています。オーソドックスなパターンで シンプルですが、ウッドのラインが重なって非常に上品な表情になっています。サウンドホールの径は音づくりには重要な要素です。 それを取り巻くラインは、径によってデザイン的にいろいろなパターンが考えられます。表情はこれでかなりの部分が決まるので、 製作者の工夫が見える部分ですね。

トップはジャーマンです。お伺いしたところ、サイドバックは輸入になりますが、トップ材だけは日本のお店に自ら足を運んで、 タッピングした上で選んでいるそうです。音のかなりの部分がトップ材で決まるのですが、こうしたところにも しっかり力を入れて良いギターづくりに専念していらっしゃるのがよくわかります。
バックです。ストロボでかなり明るくなっています。実際の感じはもう少し濃い色です。 中心からサイド側まで、しっかり目が詰んだ、いい感じの柾目です。バインディングはローズウッド。白いラインがアクセントになっています。 センターはしっかり2分割される今風のバインディングラインで、カッタウェイボディにはよく似合います。 ヒールキャップにはアヴァロンでしょうか、これもシンプルなインレイです。ヒール自体はネック側からかなりストレートに端まで来ています。 ハイポジションの演奏性をよくするためでしょう。
ヘッド裏です。コブ材の不思議な木目が豪華です。いつも思うのですが、ヘッド端やボリュート部分は曲がっています。 そこに、薄いとはいえそれなりの板を接着するのは大変ではないかと思うのですがどうなんでしょう。 いや、それこそ聞いておけって話ですがw、やはりまずは板を曲げて合わせるんでしょうか。今度絶対聞こう!w ペグはシャラーですね。ゴトー510は非常に精度が高い分、弦を張るとき巻く回数が増えます。シャラーぐらいのギヤ比率なら わりと簡単に巻き上がるので、個人的にはどちらも捨てがたしw。
ネックジョイント部分のアップです。バインディングの接合などすごく精度の高い作りですね。 ネックのマホガニーもまっすぐ柾目の良材です。アヴァロンのスノーフレークスがアクセントです。ヒールキャップは厚みのあるローズ。 バックバインディングの幅と合わせてあるようです。
ブリッジとサドルをアップで。サドルは幅のあるしっかりした象牙製。弦の支持点が切り込みの位置によってそれぞれ 変えられていて、より精密なピッチ調整を可能にしています。この画像はサドルの支持点をわかりやすくするため、 かなり画像に補正をかけてあります。そのため、ブリッジそのものの色が実物よりかなり変わっていますのでご了承下さい。 この日はモディファイドDは、エボニーブリッジとハカランダブリッジをお持ちだったので、これはハカの方かもしれません。
ササウンドホールから中を見たところ。手前のXブレイシングの交点部分、補強材がとても高くしっかりしたものになっています。 先日のアコギマガジンでのソモギの話では、サウンドホール部分の強度は音に重要な影響がある旨書かれていました。 そのあたりのことも以前から気になっていたことなので、とても勉強になったのですが、こうして実際にそのような考え方で 作られたギターに触れられるのはほんとうにありがたいことです。

バックのローズの色が鮮やかです。バックは亀岡さんはいつもマホガニーのブレイシングをお使いになるようです。 その分、スプルースよりも高さや形状がやや小型になっている印象です。バックの動き具合とトップのバランスは、 非常に気を使って 製作されていますね。
サウンドホールからサイド側を見たところ。しっかりした補強がサイドに見えます。また、上でも述べましたがサウンドホールの周りは 相当がっちりと補強が入り、とくに縦方向のバーはそのままトランスバースバーまで伸びているようです。 ローデンは角度をつけてネックブロックへ通し、Aパターンでこの部分に強度を持たせますが、同じくらいの剛性がありそうです。 フレットは見事に磨き上げられ、ぴかぴかつるつるw。きれいです。

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