ラリビーのオリジナル黒檀ピンの溝部分が痛んできたことを機会に、うりゃ!とばかり
以前から興味のあった象牙に交換してみました。ブリッジピンは単に色や見た目のことだけでなく、
大きくはトップ全体の質量にも影響し、エンドボールとの接触に関してもブリッジプレートとの
関係がそれぞれ微妙な音への影響があるようです。硬さや重さなども較べながらレポートいたします。
ただし、けっこう微妙な変化なのでギターのセッティングによっては大きく差は出ないかも知れません。
逆に、今回使ったラリビーはかなりセッティングを追い込んであったので、割と分かりやすい結果が出ました。
あくまで参考程度にお考え下さい。

象牙ブリッジピン導入

最初に、今回は問題が一つありました。ラリビーはピンが黒なのですが、これを白には変えたくなかったのです。 雰囲気など気に入っているので何とか黒で行きたいと思っていました。そこで、こうした方面にいろいろな試行錯誤をしておられる 「でぇよんごぉ」さんに相談することにしました。多少退色などのことは懸念されるにせよ、ワタシ的には大きな問題はなかったので すぐにお願いすることになりました。画像は先方より送られてきた完成時の画像です。まったくよくできていましたので、 すぐにお送りいただくことにしました。今回は一応オーダーで製作と言うことなので、オリジナルのピンを事前にお送りし それに合わせて製作していただきました。また、7本あるのはスペアを一本追加してあるためです。無くなると大変ですからw    
まずはさっそくですが、オリジナルと較べてみましょう。象牙の方が明らかに長いです。また、溝の切り方が象牙の方がより深く、 長くなっています。弦の種類、特にマーキスのようにエンドに繊維を巻き込んだタイプはこういう溝の方がゆとりがあって良いですね。 オリジナルが痛んだのも、マーキス弦のエンドが太いことが原因の一つです。これは巻き弦に限らず、プレーン弦にも繊維が巻かれていることで 特に2弦と6弦が問題を起こしているようです。象牙ピンの方では、完全に根本まで入れても溝があるため、オリジナルのように弦をピンが 圧迫することがありません。このあたりはセッティングにも関係する部分なので、「作ってみよう!」という皆さんはよく検討して下さい。 ブリッジ側の弦溝がある、無いとか、その深さや幅なども大切なポイントです。
ピンのアタマの比較です。かなり微妙な違いはありますが、概ねよく似ています。ドットもアバロンでお願いしています。 やはり溝の具合が一番違います。溝自体かなり深いのがおわかりになるでしょうか。ちなみに刺さっているのは、以前発泡スチロールで作った ピン立てです。セラックで黒檀ピンを目止めするのに便宜上作りました。ハレパネ(商品名)にピンを力任せに押し込んで穴?を開けただけという、 超ハイテク製作ですw。
これは、「でぇよんごぉ」さんの特徴?である6弦専用ピンの状態を比較したものです。どちらも象牙製のピンです。 専用の方が、微妙に溝が深く、幅も広くなっています。これによって6弦のエンド巻き込み部を逃げるわけです。ピン端の凹みは6弦専用のマークです。 使用感としても、6弦に使ったとき以前のような押し込む感じが無く、スムーズに使えます。
どうしても一手間かける癖がありw、ヘッド部を磨いてみました。上がってきた時点でもカナ〜リきれいなのですが、ツルピカにしたかったので 研磨剤などで磨き込んでみました。こうして画像で見ると、ほとんど差がないw。よ〜〜〜く見ると、平滑度や貝のエッジ部が艶やかになっているのですが あくまでも自己満足の範囲内ですね。それに、やりすぎるとこのピンは染色なのでハゲます!w。ほどほどに!ですね。
さて、実際にもっとも興味があるのは、「どれほど音に違いが出るのか?」と言うことです。ここに上げたそれぞれは、一般的によく使われる 材ですが、これまでの経験からですと、重さ、硬さの順では
フォッシルアイボリー>象牙>牛骨>黒檀>水牛
の順でした。いずれも自分のギターに使ったことがあります。音の感じを、黒檀を基準にすると、それより軽い水牛はプラスチックに近くなり、音像がキリッとしません。使ったのは1500円程度のもので、アメリカなどで見かける高級品ではありません。そちらもいずれ試してみたいですw。 黒檀より硬く、重い牛骨は高音に少し張りがでて、パリンとした傾向に向かうようです。音に芯が出て、黒檀よりもメリハリがあるような気がします。 これも1500円程度のものを使っていますので、対投資効果は抜群?ですw。ただし、ピン穴はほぼ間違いなく合わないので、ピンを削って合わせる作業が 必要のようです。この手間さえ気にならなければ、磨けばアタマもツルピカになるのでお勧めです。

さてさて今回の象牙ですが、牛骨よりも重いですが、硬さはやや硬い程度です。傾向はやはり牛骨と同じく音に張りがでました。これは気のせいではありません。なかなかイイです。実際のところ、見た目と(象牙を使っているという)自己満足感があればそれで良いと思っていたので、音が少し好みの方向になったのはうれしい限りです。ラリビーはもともと、パキンパキンの音を狙うギターではありません。空間に広がるような深い倍音と、それでいてしっかりした基音で鳴るギターですが、その基音部分がくっきりとした輪郭をだすようになりました。個人的には、対投資効果は十分満足のレベルです。
実際にセットしてみた感じですが、いかがでしょう。以前のオリジナルと区別が付かないと思います。以前の画像は、自作サドル ブリッジ の項にありますので 一度改めてご覧下さい。写っている弦はいるかやさんで組んでもらったカスタムセット。これにはエンドに繊維の巻き込みがないので、次回マーキスに交換した ときに溝の差がハッキリすると思います。アタマがツルピカでピカっていますねw。象牙は塗装無しでも、磨くとこの程度は光りますのでイイ感じです。
今回は、象牙に替えて大満足という結果でした。もともと溝の摩滅が原因だったので、象牙ならその問題も少なく、溝も深くなっているので物理的な要因は ほぼ解消されたと考えています。その上で音にも良い影響があったので、良かったと思います。

ところで上で述べなかったフォッシルですが、重さは象牙よりかなり重く、硬さは石並です。というか、化石w。音はハカランダに合わせるとすごく明るい パリンとした印象です。うちの78年1500に使っていますが、すごく良いマッチングです。個人的にはパキパキ系のギターにはかなりお勧めなんですが、 スチュウマックぐらいでしか見かけないのと、溝がないのでセッティングの追い込みがムズカシイです。日本でもたまに出てますが、リペアマンに預けてもイイという人は、 ぜひお試し下さい。あ、うちは自分でやっちゃいましたけどw。




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